「注文住宅の相場がいくらなのかわからない。」
「値段が安いのは不安に感じるけど大丈夫なのか。」
「見積もりを出してもらったけど適正価格なのか心配。」
このように疑問や不安を感じていませんか?営業マンが言う価格で本当に家は建てられますか?
そんな住宅の価格について解説していきます。
自由設計の場合、拘ればそれに比例して価格はどんどん高くなります。契約前に正確な総支払金額を把握できなくても、検討中の住宅会社の価格帯を正しく把握する必要はあります。
「自由設計だから価格はそれぞれ違う。値段は一概には答えられない。」としか言わない住宅会社は要注意です。こちらの予算のことをしっかりと気にかけ、答えてくれくれる姿勢を見るのも大切なことです。
全国の住宅会社もリサーチしています。住宅会社選定にお役立てください。
住宅にかかる費用とは
住宅を建てるときにかかる費用は大きく分けて3つあります。
- 本体工事費
- 付帯工事(別途工事費)
- 諸経費
様々な費用はこの3つに振り分けることができ、それを合わせたものがトータル価格となります。
トータル価格=本体工事費+付帯工事(別途工事費)+諸経費
注文住宅の場合、それぞれが占める割合はある程度決まっています。相場などを把握するうえで内訳ぐらいは知っておいて方がいいので、簡単に紹介していきます。
本体工事費とは
本体工事費とは、建物にかかる基本的な費用のことで、坪単価とは一般的にこの本体工事費のことをいいます。
全体の70%をこの本体工事費が占めており、値段が安い・高いなどの価格差はこの部分によるところが大きいです。
坪単価とは、この本体工事費を指すことがほとんどですが、住宅会社によっては含める部分や含めない部分が異なるので参考程度と思った方がいいでしょう。
付帯工事(別途工事費)
付帯工事費、又は別途工事費は本体工事費に含まれない工事費のことをいいます。
全体の20%だったり、200万円ほどかかると言われています。
- 既存建物の解体費
- 地盤改良費
- 外構工事費
- 照明器具工事費
- カーテン工事費
- 空調・設備工事費
- 屋外電気・給排水衛生工事費
- 引込み工事費
上記がこの項目に含まれますが、人によっては必要がなかったり、住んだ後でも構わない費用です。
一つ一つ説明をするとかなり長くなるので説明は省略します。
諸経費とは
諸経費は申請や現場・登記・ローン・建て替えなどにかかる費用のことをいいます。
全体の10%ほどが諸経費になります。
こちらも人によっては必要がなかったり、住宅会社を通さなくても構わないものです。自分で手配したりすることも可能です。
申請や現場で必要な費用
- 建築確認申請費用
- 近隣挨拶関係費
- 地鎮祭費用
- 上棟式・竣工式費用
- 茶菓子代
登記関係で必要な費用
- 建物表示登記
- 土地所有権移転登記・建物所有権保存登記
- 抵当権設定登記
ローン関係で必要な費用
- 手数料
- 保証料
- 団体信用生命保険特約料
- 火災保険料
建て替え時に必要な費用
- 仮住まい費用
- 減失登記費用
- 引越し費用
これも付帯工事費同様に個別で説明をすると長くなるので説明は省略します。
坪単価の落とし穴
住宅の本体工事費用の内訳のところでも坪単価という言葉を少し使いました。
坪単価は価格を知る上で大切なものです。しかし、比較するにあたり注意点もいくつかあります。
失敗しないためにも必ず覚えておきましょう。
坪単価は本体工事費のみ
坪単価は本体工事費のみで表している住宅会社が多く、トータル価格で見ると坪単価以外の費用のが占める割合も少なくありません。
先ほども述べましたが、坪単価の中身は全体の70%ほどしか含まれていません。坪単価が費用の全てだと勘違いしている人もいますがそれは間違いです。
この図を見てもらえれば理解しやすいと思います。坪単価に含まれない価格もあるので注意しましょう。
坪単価は本体工事費のみを指している住宅会社が大半ですが、住宅会社によって坪単価に含める範囲は違います。
坪単価は延べ床面積で計算をする
坪単価はどのような価格かというと、「本体工事費÷延べ床面積=坪単価」の式で表すことができます。
延べ床面積ではなく、施工面積で坪単価を出しているところもありますが、その場合はベランダやポーチなども含むので坪単価は下がります。
住宅会社によって坪単価に含む工事と含まない工事があるので、複数の住宅会社で坪単価を聞くときは注意しましょう。
中にはあえて坪単価を安く言い、契約させるというケースも過去にはありました。安いと思い契約したら高額な請求をされたという事例があるので気を付けましょう。
延べ床面積が小さいほど坪単価が上がる
住宅価格の中で、キッチン・トイレ・ユニットバスが占める割合は非常に大きいです。
トイレは1階と2階の両方に付ける人もいますが、キッチンやユニットバスは恐らく1つでしょう。
このように家に必ず必要な設備というのは決まっています。大きい家でも小さい家でもそれは変わりません。
なので、延べ床面積が小さければ設備が占める割合が大きくなり、小さい家になればなるほど坪単価は上がる傾向にあります。
何坪で家を建てたいのか大まかに伝え、坪単価を聞くのがいいでしょう。住宅の大きさによって坪単価は大きく変わってきます。
デザインで坪単価が変わる
当たり前ですが、デザインに拘ればそれだけ坪単価は高くなります。
- 無垢材を使う
- 梁見せにする
- 窓を大きくする
- グレードの高いものを使う
簡単に何個か挙げましたが、これだけに拘っても坪単価は結構高くなります。
オシャレな家は憧れますが、どこに拘ってどこを妥協するかを考えましょう。限られた予算の中で考える必要があります。
坪単価を過信しすぎない
坪単価という表現は曖昧で、参考程度にしかならないと思った人も多くいるかと思いますが、それが正しい考えです。
坪単価という言葉に定義はありません。住宅会社でどこまで坪単価に含めるかは違います。
検討中の住宅会社が高いのか安いのかをある程度見極める判断材料として使いましょう。
スポンサーリンク
住宅会社の相場を知る
次は注文住宅の相場を紹介していきます。
坪単価と本体工事費の両方を表記しているので参考にしてください。
- ローコスト住宅
- ミドルコスト住宅
- ハイコスト(ハイグレード)住宅
上記の3つの価格帯に分けて説明をしていきます。
ローコスト住宅
ローコスト住宅とは下記のような価格です。
- 35坪程度で1000万円
- 坪単価が20~40万円
基本的には安く建てることができますが、オプションを多く付けるとミドルコスト住宅並みになるケースも少なくありません。
住宅に拘りがなく、とりあえず住めればいいという認識の人なら問題はないでしょう。
しかし、住宅性能が低かったり、アフターサービスの対応が悪かったりもするので、その点は注意が必要です。
また、安いのには安いなりの理由がありますが、「安い=欠陥住宅」ではありません。安い建材・安い職人を使い、安いグレードの設備で建てているのです。安かろう悪かろうという人もいますが、値段相応ということです。
建材や住宅設備を一括で仕入れたり、施工効率を上げるなどで、コストカットに力を入れている住宅会社もローコスト住宅の中には存在します。これにより、品質を保ちながら価格を抑えた家づくりを可能としています。また、モデルハウスや余計な広告をせずに経費を抑えている住宅会社も少なくありません。
ミドルコスト住宅
ミドルコスト住宅とは下記のような価格です。
- 35坪程度で2000万円
- 坪単価が約50~60万円
一般的な工務店などはこのミドルコスト住宅に該当します。安くもなく高くもなくといったところでしょうか。
この価格帯の住宅会社はコストパフォーマンスに優れた住宅が多いです。「大手ハウスメーカー並みの設備でお手ごろ価格」などを売りにしています。
それなりに良いものをそれなりの価格で提案しているように感じます。贅沢までとはいきませんが、ある程度拘りを持って建てることができます。
ハイコスト(ハイグレード)住宅
ハイコスト住宅とは下記のような価格です。
- 35坪程度で3000万円
- 坪単価が約80万円以上
キッチン・トイレ・ユニットバスなどの設備をグレードの高いものにしたり、内装に拘ることが可能となります。
人によっては家自体を大きくしたり、外構にお金を回す人もいるでしょう。
拘りが多いので住宅会社との打ち合わせが多くなり、工事までの期間が長くなる傾向にありますが、妥協せずにじっくりと考えていきましょう。
ハイコスト住宅に限りませんが、デザインに拘れば価格はどんどん上がっていきます。お金をかければかけるだけ、理想の家を建てることが可能です。
安い住宅と高い住宅の違い
ローコスト住宅・ミドルコスト住宅・ハイコスト住宅を見てもらいましたが、まとめるとこのようになります。
安い住宅の理由
- 住宅性能が低い
- 安い建材を使っている
- 設備のグレードが低い
- 職人の熟練度が低い
- アフターサービスがいい加減
高い住宅の理由
- 住宅性能が高い
- 高い建材を使っている
- 設備のグレードが高い
- 職人の熟練度が高い
- アフターサービスが手厚い
安い住宅と高い住宅ではしっかりと差があります。自分に見合った価格帯で住宅を建てましょう。
「お金がないから安い住宅会社で建てたんだ」と馬鹿にする人もいれば、「あんな高い住宅会社で建ててぼったくられてるだけだ」という人もいます。
人にどう思われるかではなく、自分が納得すればそれが正解です。
価格帯による住宅の違い
安い住宅と高い住宅の違いはなんとなくわかったでしょうか。
次は35坪程度の住宅の場合、価格帯によってどのような違いがあるのかを具体的に説明していきます。
1000万円台の住宅
1000万円台の住宅を建てる人は下記のような理由が多いです。
- 収入が少なく予算が少ない
- ローンを出来るだけ減らしたい
- 趣味や子育てを優先して家にお金を使いたくない
家にそこまでお金をかけれない人やかけたくない人が建てている価格帯です。
建築費を抑えるために外観はシンプルな作りで、凹凸のない箱型デザインのものが多く見られます。
また、同じ延べ床面積でもコの字型やL字型の家は建材を多く使うのでこの価格帯ではまず無理でしょう。それに伴い、間取りの制限も多く出てきます。
住宅設備もグレードの低いものを選ぶしかなく、断熱性も期待はできません。
何においても妥協を強いられますが、ターゲットとしている人は価格が優先なので、そこまで気にならないのかもしれません。
2000万円台の住宅
2000万円台の住宅はどこにお金をかけるかによって様々なパターンがあります。
- 外観
- 間取り
- 断熱性能
- 住宅設備
- デザイン性
何か少し拘りを持ちたい人におすすめの価格ですが、何に拘ろうかと考えているうちに予算オーバーになてしまうこともよくあります。
内装は拘らずにキッチンを使いやすいように拘るであったり、友達が多いので人目につく1階のみデザインを拘るなど、拘りにメリハリをつける必要があります。
拘りが多くなり予算を上げがちな価格帯でもあるので、何を優先して何を妥協するのかをはっきりさせて仕様を決めていきましょう。
3000万円台の住宅
注文住宅の全国平均がこの3000万円台です。なので平均的な価格といえます。
2000万円台で計画していて予算がオーバーし、3000万円になったというケースも少なくないでしょう。なので、一般的に満足度の高い住宅はこの価格帯より上ともいえます。
住宅に求めることの全部は無理でも、ほとんど叶えられるでしょう。デザインを拘ったり、水回りの設備のグレードを上げたり、断熱性能を高めたりと、出来ることは多くあります。
ですが、お金に余裕があるから何でもグレードを上げればいいというわけでもありません。自分達のライフスタイルに合わせて考えましょう。無駄なところはしっかりと抑える決断も重要になってきます。
4000万円台の住宅
35坪で4000円台といえば、坪単価100万円越えです。かなり住宅に拘りがある人だといえます。
基本的にやりたいことは何でも可能で、予算のことは何も考えなくてもいいほどでしょう。中庭のある間取りが可能であったり、国産の無垢材をふんだんに使ったり、高気密高断熱仕様にしたりと、全て叶えることが出来ます。
逆に、何でも出来るが故に住宅のコンセプトがぶれてしまわないか気を付けましょう。部分的に見るのではなく、家全体の統一感を忘れないように心がける必要があります。
注文住宅の値引きに必要なこと
坪単価や価格のことを説明してきましたが、一番重要なことは「同じものなら安く建てるべき」ということです。
何千万も払う買い物です。住宅会社が提案してくる見積もりだけですぐに契約するのは間違いです。
同じような価格帯の住宅会社で相見積もりを取りましょう。できれば同じ間取りや仕様で提出してもらい、同じ条件で比較することが大切です。
複数社で相見積もりを取って相手に見せることで、場合によっては何百万円も値引きをしてもらうことも可能です。住宅会社の営業マンからしても、せっかく契約出来そうな相手ですので、値引きのカードを切ってくることが多いです。
見積内容を見比べる
一つ一つの仕様やグレードによっても価格は違ってくるので、見積もりを出してもらうときはできるだけ細かな内容で出してもらいましょう。
自分にとって必要のない仕様も紛れている可能性もあります。わからない内容や納得できない内容はそのままにせず必ず質問をし、回答してもらうようにしましょう。
また、見積もりを見比べることで適正価格なのか判断することも出来ます。同じ価格、施工面積で比べたときに住宅設備のグレード・断熱性能などの住宅性能・その他のオプションなどを見て判断しましょう。
本体工事費以外にも、付帯工事費などがしっかりと含まれているのか確認をする必要があります。契約後に高額な追加請求をされるということも中にはあるようです。
まとめ
「頭金がいくらで、毎月の支払いはいくらなので、この価格で建てた方がいい。」と言ってくる営業マンもいます。
しかし、肝心なことは「自分達の考える住宅は予算に収まるか。」「希望する要望をしっかりと実現できるか。」ということです。
お金を支払うのは建てる私たちです。営業マン主導の予算組みや資金計画は間違っています。自分達に見合った価格の家を建てましょう。
自己資金はできれば総支払額の20%以上が望ましいです。全財産を家に使うのではなく、今後のことを考えて予算を組みましょう。
これで住宅の価格についての理解は深まりましたか?住宅は建ててからがスタートです。将来のことを考えて無理のない家づくりをしましょう。